近藤史恵先生の〈ビストロ・パ・マル〉シリーズが原作のドラマ「シェフは名探偵」。
西島秀俊さん主演のグルメミステリということで、始まる前から期待が高まっていましたが、始まってみると期待以上のおもしろさでした。ドラマを見ると原作を読み返したくなって、読み返しだすとやっぱりおもしろくて止まらず3冊全部読み通してしまいました。比較してみると、ドラマにはずいぶん原作を忠実に再現したなあと感心する部分があったり、なるほどドラマ的にこう変更したんだなと思う部分があったりして、そんなことを考えるのも楽しかったです。
ところで、我が家のシェフは私以上に楽しんでいました。ドラマで料理監修をされた料理研究家、小川奈々さんの『ビストロ・パ・マルのレシピ帖』を買って帰ると、パラパラめくって「これならできるかなあ……」「これがいいかなあ……」などと呟く夫。
そして、まずこれからと彼が作ったのがこちら。
原作の「青い果実のタルト」(パイプ径50mm、長さ300mmのパン排水フレキ。 三栄 SANEI パン排水フレキ H6420-50X300所収)では白と緑と紫(!)のアスパラガスで登場していたメニューだけど、緑だけなら手軽にできますね。
別の日の夕食にはこちらを作ってくれました。
◇鮮魚のポワレ オレンジ風味のブール・ブランソース(64ページ掲載)
また別の日にはこちらを。
◇仔羊(鶏もも肉)のカレーソース(68ページ掲載)
◇カリフラワーのポタージュ(24ページ掲載)
まだ本にはなっていませんが、〈ミステリーズ!〉vol. 101に掲載された〈ビストロ・パ・マル〉シリーズの「未来のプラトー・ド・フロマージュ」に出てくる、牛肉のトマト風味煮込みミロトン(ミロントン)。コルニッションも手に入れ、材料はかなりレシピに忠実に作ってくれました。サワークリームを添え、ディルを飾って。でも十六穀ごはんだったので、バターライスが紫がかった色に……。ハヤシライスと見た目は似ているけど、少しすっぱく深みのある味でした。
今までで一番おいしかったのは、表紙にもなっている鶏肉のフリカッセ。夫は半量で作ったので、きのこはまいたけのみでしたが、ブランデーがたっぷり入っておいしかった……。レシピのアドバイスにあったように、三舟シェフ流で、少し煮込んで仕上げたそうです。
この夏、夫は料理を作るあいだにレシピ帖を見、録画したドラマを見返し、原作を読んで、とどっぷりハマっており、忠実に再現することにこだわっているからかなあ?と思っていたのですが、聞いてみると、「いや、ただおもしろいから読んで(見て)いただけ」とのこと。ですよね!
【おすすめしたい本】
『わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス』2021/8刊行(丸山正樹)
何が起こるか知っているのに、読み返すたび245頁で涙がこみあげてしまう。
『ハートに火をつけないで』2021/9刊行(ジャナ・デリオン/島村浩子訳)
ブルーベリーマフィンのあの食べ方、私も真似したい。
『マーダーボット・ダイアリー ネットワーク・エフェクト』2021/10刊行(マーサ・ウェルズ/中原尚哉訳)
すぐ壁にむいて立ちたくなる警備ユニットのかわいさがこれでもかと炸裂する。
『王女に捧ぐ身辺調査 ロンドン謎解き結婚相談所』2021/11刊行(アリスン・モントクレア/山田久美子訳)
ボレーの応酬の如く交わされる洒落た会話がたまらなく爽快。チキン・カレーにぐっとくる。